コラム

赤ちゃんが泣き止まないとき・・・

「赤ちゃんが泣きやまない…オムツも換えたし、ミルクもあげた。もう1時間くらい抱っこしている。なにが起こってるの?!」
という経験ありませんか?

赤ちゃんには、どんな子でも泣いちゃう時期があるんです。
そのことを象徴するように、『パープル・クライング(PURPLE Crying)』という言葉があります。

『パープル・クライング(PURPLE Crying)』とは、
おなかがいっぱいでも、オムツが汚れてなくても、具合が悪くなくても、何をやっても泣きやまない、そんな赤ちゃんの以下の特徴を指す言葉です。

Peak of crying(泣きのピークがある)
Unexpected(予想外)
Resist to soothe(なだめられない)
Pain like face(痛そうな顔)
Long lasting(長く続く)
Evening(夕方に泣く)

PURPLEとは(紫色ではなく)これらの頭文字をとって名づけられました。
日本でも「黄昏泣き」なんて言われることがあるように、
夕方になって急に泣き出すのもこのPURPLE Cryingの現象なんです。

赤ちゃんがなぜ泣くのかは医学的に諸説ありますが、
現時点では「明確な理由がないのに泣く」ことが確かに存在しているようです。
ただし、何か潜んでいる病気に気づいていない場合もあるので、まずは「明確な理由がないかどうか」は病院で確認してもらう必要があります。

「病院では何もないといわれたけど、赤ちゃんがずっと泣いてる・・・」
「抱っこしても、おっぱい飲ませても泣いちゃう・・・」

こんな時、お母さんも悲しい気持ちになっちゃいます。
どうしたらいいかわからない気持ちになっちゃいます。
時には、イライラしてしまう時もあります。

こんな時、お母さんも気持ちを落ち着かせるために少しの間、赤ちゃんから離れてみるという方法があります。

まずは赤ちゃんを周りに何もない安全な場所に寝かせましょう
そして、以下の点に注意して下さい。

・ベッドがある場合はベッドから落ちないように柵をする
・仰向けに寝かせる
・ブランケットや布団などがまわりにないようにする

そうしておけば赤ちゃんは泣いていてもその場を離れて大丈夫です。
お母さん・お父さんは心を落ち着かせてリラックスタイムを取ってください
そのあとしばらくして、一度赤ちゃんの様子(顔色、呼吸、吐いていないかなど)を確認してください。

赤ちゃんの泣き声のトーンは人が一番不快に感じやすい音程になっていて、
ずっと泣かれると精神的に参ってきます。
そのため、イライラして赤ちゃんを揺さぶってしまう(揺さぶられ症候群)ことが多いようです。
子どものことを1番に考えて一生懸命子育てをしているのに、
イライラや悲しい気持ちで追い詰められて、結果的に子どもを傷つけてしまうことはお互いに悲しいことです。

大切なのは、泣きやまないときに決して揺さぶらないことです。
何をしても泣き止まないときは一旦子どもから離れることも考えていいのです。
「親なら泣いている理由が分かって当然」と頑張りすぎたり、自分を責めなくていいのです。
そして、このPURPLE Cryingにもいつか終わりが来ます(約2か月がピーク)
「あのときはよく泣いて大変だったのよ」と、大きくなったときに笑い話になる日がきっと来ます。

このPURPLE Cryingの認識を広めて、その対処方法を教育するプログラムが世界中で開発されています。
『パープル・クライング(PURPLE Crying)』
これを知っていることで、つらい時期を乗り越えることができると思います。

参考文献:
1. National Center on Shaken Baby Syndrome. Period of purple crying shaken baby syndrome prevention program.
2. Ronald GB, et al. Effectiveness of educational materials designed to change knowledge and behaviors regarding crying and shaken-baby syndrome in mothers of newborns: a randomized controlled trial. Pediatrics, 2009; 123(3): 972-980.
3. Duzinski SV, et al. Effectiveness of a Pediatric Abusive Head Trauma Prevention Program Among Spanish-Speaking Mothers. Hisp Health Care Int. 2018; 16(1): 5-10.